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中秋節のあれこれ

 秋になると中国では中秋節(旧暦8月15日)という伝統行事があります。2016年は9月15日が中秋節で、9月15日~17日の3連休となります。

 

 まず中秋節について簡単にご紹介します。

 中国では中秋節は春節、端午節、と並ぶ三大節のひとつで、家族が集まり満月を愛でながら豊作を祝う伝統行事です。

 丸い満月を家族団らんの象徴と考え、家族で過ごす大切な日とされており、中秋節は団欒節とも呼ばれています。

 ※中秋節の由来リンク

  http://www.allchinainfo.com/culture/holiday/zhongqiujie

 

 中秋節は日本でも十五夜として馴染み深いものです。

 日本ではお月見団子を食べますが、中国では月餅を食べます。また、月餅を知り合いや仕事でお世話になった人などに贈る習慣があります。

 この時期多くの人が月餅を贈るため、食べきれない量の月餅をもらうことがあります。

 そんなとき皆さんならどうするでしょうか。

 中国では贈られた月餅を違う人へ贈ります。日本でしたら失礼になりますが、中国ではごく普通に行われています。

 日本と中国の考え方や価値観の違いからでしょうか。こういったところからも違いを感じることができます。

 

 ところで、中国・台湾だけでなく、華僑の多いシンガポールなど中秋節を過ごす国は他にもあります。しかしすべての地域で全く同じだというのではなく、その土地ごとに少しずつ異なり、独特の特徴をもっています。

 ではここで、各地域の違いを中国、香港、マカオ、台湾、シンガポール、ベトナムの中秋節を比べてみたいと思います。

 

■中国(香港、マカオを除く)

 伝統的な月餅で蓮の実で作った餡と鹹蛋(塩漬けにしたアヒルの卵の黄身)が入っているものが主流です。

 中秋節は祝日ですが仕事のある人も普段より早く帰宅し、家族と夕食をとり、家族団らんを楽しみます。

 中秋節は家族団らんの伝統行事でありイベントではないため、街中で催しものが行われていることはなく、家で家族とのひと時を楽しみます。

 地域によってはパンを焼き家族と食べる風習もあるようです。パンの中身は砂糖やゴマ、金木犀の花や野菜が入っていて、皮には月や桂、ウサギなどの模様がつけられているようです。

 ※中国の中秋節リンク

  http://allabout.co.jp/gm/gc/57338/

  http://www.arachina.com/festivals/mid-autumn-festival/history.htm

  http://www.recordchina.co.jp/a76976.html

  http://www.tenki.jp/suppl/marinahishinuma/2015/09/26/6002.html

 

 

■香港

 月餅は伝統的なものだけでなく、最近はフルーツや緑茶、チョコレートなどいろいろな味の月餅があったり、衣の食感の違う月餅があったり、高級食材のフカヒレが入っている月餅があったりと種類が豊富です。フカヒレ入りがあるあたりは、さすがは香港と感じます。

 街中にはランタンが飾られます。提灯のように小さなものから龍などの大きなものまで様々です。

 仕事も普段より早め(2~3時間早いなんてことも)に終わり、家族揃って食事をし、団らんを楽しみます。食後にはランタンを手に山頂などの高いところや公園などの広い場所へ行き、満月を鑑賞します。また、美しい満月とランタンでロマンチックな雰囲気の中、デートを楽しむカップルも多いそうです。

 中秋節と同じ時期、旧暦8月14日~16日の3日間の夜、香港島の銅鑼湾運動場の後ろにある大坑という小さな通りでは、ファイヤー・ドラゴン(火龍舞)を踊るイベントが行われます。由来は、昔々、この地域の村民が疫病に襲われ、それを食い止めるため縁起のよい龍に線香を灯し、ファイヤー・ドラゴンを踊ることにしました。3日間踊り続けた結果疫病が消え、平和が戻りました。それ以来ファイヤー・ドラゴンは恒例行事となったそうです。

 ※香港の中秋節関連リンク

  http://www.hongkongnavi.com/special/5002289

http://www.discoverhongkong.com/jp/see-do/events-festivals/chinese-festivals/mid-autumn-festival.jsp

 

■マカオ

 マカオでは中秋節の翌日が公休日となります。

 香港と同じく、街中にランタンが飾られます。

 他の地域と同じく、家族が揃って夕食をとり、家族の団らんを楽しみます。

 2016年の中秋節(9月15日)の夜にはマカオ国際花火コンテストも開催されます。

 ※マカオの中秋節リンク

  http://www.macaushimbun.com/event?id=13109

  http://jp.macaotourism.gov.mo/events/calendar.php

  

 

 

■台湾

 中国と同じように家族と夕食を食べ、家族団欒のひと時を楽しみます。ですが最近は大勢でワイワイと焼肉やBBQをして過ごす人も多いようです。場所は家の玄関前の道端でやる人が多いそうです。

 月餅は伝統的な味のものから、カレー味やラベンダー餡の入ったもの、アイスクリームの月餅までさまざまな種類があるようです。

 ※台湾の中秋節リンク

  http://www.jtb.co.jp/kaigai_guide/report/TW/2014/09/taiwan-holiday.html

 

 

■シンガポール

 中華系の人が多く住んでいるシンガポールでも中秋節は重要なイベントとなっているようです。

 街中にはランタンなどのイルミネーションが飾られ、月餅も売られます。

 チャイナタウンではイルミネーションや子供たちの手作りランタンが飾られていたり、連日イベントが行われていたりします。

 月餅は中国のものより一つの大きさが大きい。

 月餅の味もパイナップルやマンゴー、バナナといった南国のフルーツ味が多くあり、また、チョコレート味やチーズ味の月餅やアイスの月餅などもあり若者に人気だそうです。

 一般的な月餅は焼かれているものですが、シンガポールでは“生月餅”というのがあるそうです。皮が白く薄いモチのような生地で包まれていて、賞味期限が2~3日と短く冷蔵保存だそうです。

 ※シンガポールの中秋節リンク

  http://singapore.navi.com/special/5036309

  http://www.yoursingapore.com/content/traveller/ja/browse/whats-on/festivals-and-events/mid-autumn-festival.html

 

 

■ベトナム

 中国の文化の影響を強く受けているベトナムでも中秋節を過ごします。

 中国と同じく家族と食事をし、家族団欒を楽しむようです。

 中国とは違いベトナムの中秋節は子供のためのお祭りで、中秋節前夜には着飾った子供たちが提灯を持って歩き回る風景が見られるそうです。子供たちの持っている提灯はカラフルなものが多く。マンガのキャラクターをかたどったものが多いようです。

 月餅も特徴的で、海鮮、豚肉、鶏肉などのおかず味のもの、アワビやホタテ、サーモン、カニなどの高級食材を使ったものもあり、高級な月餅は通常の月餅の4倍ほどの値段で売られているそうです。また、南国のベトナムらしくドリアン味もあるそうなので、この時期にベトナム旅行をされる方は試してみてはいかがでしょうか。

 ※ベトナムの中秋節リンク

  https://www.ab-road.net/asia/viet_nam/ho_chi_minh_city/guide/00260.html

 

 

 皆さんも中国語学習をきっかけに、中国の文化にも興味をもって接してもらえると、他にもさまざまな面白い発見があるかもしれません。

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